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それでも、しばらく経過をみていれば、確実に虫垂炎はそれとわかる。最初はみぞおちなどが痛んだとしても、最終的には右下腹部に痛みが集中してくるからだ。「右下腹に痛みが集まってくるようなら、すぐに申し出てください。そのときには虫垂炎の疑いが大きくなるので、すぐに検査をします」このような一言が、医者から患者側に対してあったなら、おそらく虫垂炎は見落とされなかったはずなのだ。医療の技術が進歩し、検査が中心になった現在の医療にもっとも欠けているのは、患者に対する医者の説明である。

医者自体のコミュニケーションの技量も、正直なところ低下していると思う。ほとんど検査らしい検査もなく、すべての診断が医者の経験や五感だけに頼られていた時代が長く続いてきた。このころの医療のレベルは、確かに低かった。しかし、患者に対する医者のコミュニケーションは、虫垂炎の診断。前述のように、虫垂炎は、最初は、みぞおちやおへその周囲の痛みに始まる。その後、痛みはしだいに右下腹部に集中してくる。

だが、子どもの場合では、そのような症状を示さないこともある。胃炎。胃壁とくに粘膜が炎症を起こし、急性と慢性のものがある。腹痛や吐き気など、腸炎や虫垂炎と同様の症状を表わすので、多角的に診断する必要がある。今よりよほどよかったのではないだろうか。医療ミスや医療事故の発生は、現在に限ったことではないと思う。以前にも多かったはずだ。それが、今日のように、訴訟にまで発展する例が多くなってきた背景には、ただ患者側の権利意識が高まったということだけでは正しい説明にはならないと考えている。

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ま、研修も受けないまま、あるいは動物実験などで予備トレーニングを積まないままで、いきなり患者に新技術を適用する場合だ。このようなケースは、とくに大学病院や、有名な総合病院で意外に起こりがちになる。ある大学病院でこんな医療ミス・医療事故が起きた。単純な心臓手術のミスが原因で、患者が死亡したというものだ。心室中隔欠損症という心臓病がある。

これは、四つある心臓の部屋を区切る心臓の壁に生まれつき穴があいていて、動脈血液が逆流してしまう病気だ。この病気の治療は、その穴を防ぐ、ただそれだけである。心臓の手術は、一刻も休むことなく動き続ける心臓を切開する。それだけに、危険を伴うこともある。お腹の手術などに比べれば、手術で患者が命を失う確率も高い。

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